日時:2023年7月25日 10時~12時30分
場所:ZOOMによるオンライン開催
明治6年3月2日~3月7日 使節団はハーグに滞在しつつアムステルダム市内や近郊各所を訪問した。
王宮、美術館、ダイヤモンド研磨工場
3月2日 ハーグを発ちアムステルダムに向かった。アムステル川のダム(堤防)がその名の由来である。水際の景色、木立の印象が深川霊岸島を思い起こさせた。アムステルダムに着くとまず王宮に向かった。奥行90m、間口80m、尖塔高さ40m、200年前タウンホールとして建造された建物で、館内は往時のまま、石材の白さが印象的な清潔な造りに好感を持った。次に美術館に行った。現在の王立美術館は1885年創立であるので、使節団訪問時は3カ所の建物に分散されていたと推量、手狭な陳列であったためか絵画そのものの好印象よりむしろ模写の様子の記述が残るのみである。続いてクリスタルパレス(当時は遊園地になっていた)、ダイヤモンド研磨工場を視察、夕食は接待係ファン・デル・タック氏の邸宅に招待され、夜9時30分の汽車に乗り11時に(ハーグの)ホテルに帰館した。
銀器製造工場、海岸線護岸・運河工事、動物園
3日 馬車でハーグの東北8㎞程走り、銀器製造工場を訪れた。
4日 外務省で条約改正の下交渉。夜、元オランダ公使ボルスブルック氏邸宅で招宴を受ける。
5日 ハーグ北の海岸線護岸工事(防波堤)を視察。他方、木戸副使は汽車で近郊の村に向かい建設中の運河を視察した。これは、北海からアムステルダムまでを結ぶ深さ6m幅60m総延長25㎞の運河で途中沼沢地を通るので陸地の開削部分は6㎞程である。夜、フレデリック皇太子邸で招宴を受ける。
6日 木戸副使はアムステルダム市内の動物園を見学。当時、ヨーロッパ一の動物園と言われた。園内には、稚魚の養殖を行う施設もあった。夜、王族ヘンドリック公邸宅で招宴を受ける。
ドイツに向け出立
7日 ドイツに向けハーグを出発。ドイツの接待係宮内官カンスキー氏がハーグ迄迎えに来る。イーゼル川を渡りベンザイムに到着、ここでオランダ側接待係と別れた。
(冨田兼任記)