日時:令和2年2月16日(日)14:00~15:00
場所:サロンガイヤール 四谷
第一部のお話は、築地居留地研究会の理事で元明治学院大学客員教授の中島耕二氏をお迎えして『築地居留地と近代音楽―讃美歌との出会い―』 と題して、日本の近代音楽が同居留地から始まったこととを、具体例を多く交えながら語っていただいた。
1869(明治2)年に開設された築地居留地には、外国商社が横浜に留まったため、主にキリスト教宣教師による教会や青山学院、女子学院、立教学院、明治学院、女子聖学院、雙葉学園等の前身が設立され、讃美歌が響いていた。童謡の♪もしもしかめよ、かめさんよで始まる「うさぎとかめ」や文部省唱歌の「夏は来ぬ」、歌曲の「からたちの花」それに長野県民歌「信濃の国」など良く知られた曲を作った日本の代表的な近代音楽家たちは築地居留地と深い関係を持っており、その原点に讃美歌があったとのお話は説得力があった。
ソプラノお二人とi-Café Singers4人が「にわか聖歌隊」となり、お話のタイミングに合わせて讃美歌や、それを元歌にした唱歌等を逐次演奏した。
第二部 ♪ミニ・コンサート♪は、ソプラノの森美智子さん、武藤弘子さんをお迎えして、~讃美歌から唱歌・日本歌曲へ~と題して、讃美歌や居留地と関係のあった滝廉太郎や山田耕作の歌曲などを、植木園子さんのピアノ、i-Café Singersの合唱を添えて披露した。この中で、2007年に「日本の名歌」にも選ばれた明治17年(1894)の日本唱歌「仰げば尊し」のメロディーが、実は1871年にアメリカで出版されたSong for the Close of School から借りたものだったと2011年に明らかになったのはドラマチックで、Singersは双方の歌を披露した。
第三部 交流会は、築地居留地研究会理事長水野雅生さんに乾杯の音頭をお願いして始まった。キッチンマスター役の沼崎有さんが、講演そしてコンサートと同時進行でオープンキッチンでプロの腕前を振ってくださり、交流会は大変盛り上がった。明治洋食の典型として選んだ「海軍カレー」には、長い行列ができた。(岩崎洋三記)