I-Café-music: 9月開催報告「イタリア編」

日時:令和元年9月8日(日)14:00~15:00
場所:サロン・ガイヤール

『第33回i-Café-music~イタリア編』は、9月8日(日)四谷 『サロン・ガイヤール』 で開催されました。夜半には台風15号が上陸見込みとの予報もあり開催が危ぶまれましたが、意外にも超満員になり、魅力的なお話とミニコンサートに盛り上がって、天候悪化前にご帰宅いただけたのは幸運でした。

『第一部映像とお話』では、DVD『岩倉使節団の米欧回覧』の第8章「西洋文明の源流イタリア」を見た後、音楽評論家萩谷由喜子さんに『明治の洋楽発展に寄与した女性たち~幸田姉妹、三浦環、大山久子他』をお話いただきました。

女性の視点から描く音楽史に定評がある萩谷さんは、昨年出版した『蝶々夫人と日露戦争~大山久子の知られざる生涯』という本で、日本が舞台となったイタリアの名作オペラ・プッチーニの『蝶々夫人』の誕生を、同年に起きた日露戦争と絡めて描いています。萩谷さんによれば、『蝶々夫人』には「宮さん宮さん」、「お江戸日本橋」、「さくらさくら」等8曲の日本の歌が使われているが、それらは当時の駐伊公使大山綱介の夫人久子がプッチーニに紹介したそうです。それらがどの様にオペラに取り込まれたかを、萩谷さんはピアニストの植木さんに逐一弾いてもらいながら具体的に説明してくれました。第3幕の幕切れに当時の流行歌だった「推量節」のメロデイーが ドラマチックなオーケストラの曲になって奏されることをはじめ、日本の歌がオペラにごく自然に取り込まれていることを教えていただいた。

オペラ誕生と同時期に、イタリアの造船所がアルゼンチンの注文で建造した二隻の軍艦が注文取消しになったとの情報が大山公使にもたらされ、日本が一触即発のロシア戦に備えて購入し、<日進><春日>と命名したこと。購入代金153万ポンドの支払いはロンドンで行われ、これに関わったのが元岩倉使節団員で日英同盟締結に活躍した林董駐英公使だったこと。 日本が日露戦争に勝利したことでプッチーニの日本を見る目が変わり、初演で不評だった『蝶々夫人』から日本を蔑視するような場面を修正し、その結果『蝶々夫人』は世界のオペラハウスで上演される上位5に入るオペラになった等々のお話はとても興味深かく、オペラを見るのが一段と楽しみになりました。

『第二部ミニコンサート』では、メゾソプラノ伊達伸子、ソプラノ酒井えり子、同磯田直子のお三方が、『蝶々夫人』から『ある晴れた日に』や『花の二重唱』、そしてイタリア民謡『チリビリビン』などを熱唱していただき、満席の会場はオペラハウスと化しました。i-Café Singersは戊辰戦争で歌われた日本最初の軍歌『宮さん宮さん』を披露しましたが、この曲はオペラの第二幕で蝶々さんに求婚するヤマドリ公のテーマに使われている由です。因みに、『チリビリビン』は、お三方の師匠で往年の名プリマ大谷洌子さんが1955年のNHK紅白歌合戦で歌った歌だそうです。

『第三部懇親会』にはアメリカの大学院で、日本に派遣された宣教師について博士論文を書いているという若い女性も含めてほとんど全員が残り、『台風どこ吹く風』と盛り上がりましたが、電車の動いている内に帰ろうと5時前に散会しました。
(文責:岩崎洋三)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です