55 混迷日本の13面相とスウェーデンの4つの顔

 当会では今年、スウェーデンをテーマに新年会を行い、引き続きそこにフォーカスして勉強をしていく気運にある。そこで感じることは、スウェーデンといえば高福祉高負担や中立政策で有名だが、なによりも国民の政治への信頼度と参加意識の格段の高さである。その象徴的な事例は、トップリーダーたる首相の在任期間に表れている。過去20年間に日本の首相は13人も変わった。スウェーデンの首相は僅か4人である。忘れないために列記すれば、宇野宗佑、海部俊樹、宮沢喜一、細川護煕、羽田孜、村山富市、橋本龍太郎、小渕恵三、森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎である。このうち小泉首相だけが5年在位したので、残り15年間に12人の首相が誕生したことになる。平均在位期間はなんと1年2ヶ月、これはバブル以降の20年、日本がいかに迷走してきたかの証明である。

一方、スウェーデンは、カールソン(7年)、ビルト(3年)、べーション(10年半)、フィンフェルト(すでに3年半)の4人で、平均在位期間は6年になる。しかも、就任時の年齢がとても若い、カールソン 52才、ビルト 42才、べーション 47才、フィンフェルト 41才である。若い人材が首相、大臣の地位につける、それが長期的視野でしっかりした政治をする。その秘密は何か、スウェーデンは政党制であり比例代表制である。したがって政策、人物中心に投票がおこなわれる。その投票率は、国政選挙で長年80%~90%をクリアしている。

わが国も、若い人材が政治の中枢につけて、じっくり長期的に広い視野で政治を行える体制を整えなくてはならない。それが国の命運を左右する。いきあたりばったり、ばらまき政策、目先だけの利権政治から、いかにして訣別し、政治を正常な路線にのせるか、このことをわれわれは真剣に考えなくてはならない。首長公選制か、完全比例制か、このところ各地で30代の市長が誕生している、それは民意の表れというべきか。

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