かつてケネデイは「国家が何を与えてくれるかでなく、我々が国家に対し何が出来るかを考えるべきだ」という意味のことをいった。
暖衣飽食の中で自分を見失い、何のために生きるのか、何に生き甲斐を見いだしていいのか、わからな若者が増えている。若者だけではない、日本人全体に自分だけが良ければいい、家族だけがよければいい、仲間内だけがよければいいという、ミーイズム、自己中心主義、偏狭な個人主義が蔓延している。
が、現実には人はそれでは満足できていない、もの足りなさを感じているのだ。それが何かのきっかけで、人の役に立ち、喜ばれ、感謝されたとき、はじめて気づく・・これこそ本当の生きる歓びであり、生き甲斐ではないか、と。
私たちの会も、仲間内の勉強会やサロン的な楽しみだけでは満ち足りない。世の中の役に立ちたい、とくに若い世代の役にたちたい、そんな思いが強かった。今回の法人化は、それを明確化させ、具体化していこうという意志の表れといえる。
そこで自問しなくてはならない。われわれに出来ることは何か。当会の財産は何か。「岩倉使節団」に関する資料?、「米欧回覧実記」に関する研究?、日本の近代史の研究成果?、関連のスライド、ビデオ? あるいは未来についてのビジョン?それもある、しかし、当会の第一の資産は会員自身であり、多彩なキャリアと才能をもつ人材群である。この人材のもつ力を結集すれば何か役に立つことができないはずはない。あるいはそれは、これからの世代に歴史感覚、日本の近代史をしっかり伝えていくことであるかも知れない。あるいは、生き甲斐、使命感、志をも持ってもらうことかもしれない。法人化を機に、会員一人一人がそうした意識を持って、社会に対し、日本に対し、米欧亜の世界に対し、小さくとも、その役立つ一歩を踏みだしたいものである。