22 長命英国と短命日本?    

 英国と日本、この二つの国は大陸に近接した小さな島国にもかかわらず、一度は世界一に輝いた国である。では、その繁栄の頂点はいつだったのか、衰退の過程はどうだったのか、甚だ興味ある処である。

その興隆期の記念すべき年として英国の1851年と日本の1970年がある。これはそれぞれの国で最初の万国博覧会が行われた年であり、国力が充実して世界にそれを誇示しうる段階に達したことを物語っている。もう一つの数字は1875年と1985年である。一つは大英帝国がインドを傘下におさめた年であり、一つは日本が自動車や鉄鋼で米国を抜き債権国としても世界一になった年である。いずれも繁栄の頂点を極めた年といえるだろう。

その間、英国は25年、日本は15年である。しかし、英国は1851年時点で既に世界のリーダーであり衰退の始まった1875年以降も第一次大戦の1914年まではその座にあった。つまり実に75年の長寿を保ったことになる。日本はどうか、頂点から僅か五年で脱落し、15年後の今日ではすっかり二流、三流国に脱落したかにみえる。

いったいどこが違っていたのか。端的にいえば、「稼いだ金の使い方」だったのではないか。英国は巧みに海外投資に使った。金融、保険、海運などのネットワークを巧妙に創り上げた。国内の農業を復活し美しい田園と住宅を造った。そして子弟を厳しく育てた。少なくともエリートについては全寮制の学校で心身を鍛え育てた。

日本はどうか、国を挙げて、バブル投機にいれこんだ。国民こぞって次世代に贅沢をさせ子供を甘やかすことに使った。その結果が今日の窮状を招いていないか。病根は深い。

既に遅きに失したとはいえ、しかし、今からでも遅くはない。虚心に英国から成熟国家の智恵を学ぶ必要があるのではないか。そんな思いがしきりである。

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