11 「実記を読む会」に期待する

今回の講演で竹内先生は「実記を読む視点」を七つ挙げられました。一つは岩倉使節研究のため、二つは日本人の西洋体験として、三つは訪れた国の地理・歴史などの資料として、四つは百科事典的な記録として、五つは各国・各都市の比較論として、六つは久米邦武の研究資料として、七つは当時の欧米における日本人社会について、という訳です。

しかも面白さはそれにとどまりません。牟田口先生は「旅行記・紀行文」としての面白さを加えられ、河上先生は「幕末使節との比較の面白さ」を加えられました。そして酒の席では十番目の楽しみとして「久米実記の誤りを探す」面白さが加えられました。

既に「実記」に親しんでおられる方は「納得!」というところでしょうが、「実記を読む会」のメンバーもおそらく同じ思いでありましょう。「読む会」は昨年8回にわたって行われ、1年経って馴染みが出来ていよいよ楽しいサロンに成長してきました。それにはまず初回から参加して見事な朗読と該博な知識でリード役をしてくださった水沢周氏のお蔭があります。それからやはり最大の功労者は幹事役の多田幸子さんです。

南青山のガーデンテラスという素敵な会場を提供し、毎回手作りの料理を用意し、しかも案内から報告まできちんと世話をして下さっています。メンバーはそれに甘えて、都心にありながら緑豊かなガーデンで、時間のことも気にしないでサロンの楽しさに浸ることができるのです。

やはり「実記」がこの会の原点です。だから「読む会」がベースなのです。おそらく読む視点はもっともっと出てくるに違いありません。そしてこのガーデン・テラスから「実記の面白さ」の「百の花」が咲き出るのではないかと期待しています。あらためて幹事さんに深謝しつつ…

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