NPO法人設立趣意書

NPO法人設立趣意書

2004年3月19日 幹事会定

「米欧回覧の会」は、 治4年から6年にかけて米欧諸国を巡覧しつつ近代日本のグラ ンドデザインのありようを探った「岩倉使節団」とその克 な記録「米欧回覧実記」の同 好的研究サロンとして、1996年4月に、その研究家である泉三郎を中心に約80名で 発足した。

以来、この会は原典としての「米欧回覧実記」の講読グループ、「岩倉使節団」を源流と する日本近代史の研究グループ、「温故知新」の精神で日本の現今の課題を研究するグルー プの3つを柱とし、各種の国際親善、親睦交流の催し、内外の歴史ツアー、映像の会 機 関紙、ホームページの制作などの啓蒙・広報活動など、極めて活発な活動を行ってきた。 その間、関西支部も設立されて、会員数は200名を超えた。そして2001年11月に は、それまでに培ってきた力をもとに、会の創立五周年・国際シンポジウム「岩倉使節団 の再発見と今日的意義」を、東京一橋の学術総合センターで3日間にわたって開催した。 このシンポジウムには、内外から20名を越す著名な研究者が集まり、多彩で実りの多い 討議が行われ、聴衆も延べ1000人という盛況を示した。この催しには国際交流基金、 東芝国際交流財団、トヨタ財団からの資金援助もあり、その報告書は思文閣出版から刊行 されている。

当会の特質はすぐれて学際的・業際的で、豊かなキャリアをもつ人材を多数擁すること である。そしてそれぞれの思想的立場は幅広くまた異なっても、常にフランクで自由な討 議が交わされることである。会の基本精神は、「岩倉使節団」の志を受け継ぐ「創業の精神」 にあり、「米欧回覧実記」がもつ柔軟な思考と実証的なフィールドワーク、そして既成概念 に囚われない比較文 論的視野の展開にある。その立場にたって、「世界の中の日本」のあ りかたを見極め、そのあるべき未来像を探り、その成果を広く市民層、とくに若い世代に 啓蒙し、「よりよい日本」、「よりよい世界」を築いていくためにいささかでも寄与・貢献す る事を目的とする。

今後の展開については、すでに創立10周年記念の「グランドシンポジウム」 「米欧 回覧実記」の現代語訳の出版という大事業も企画しており、これまでのような個人的で同 好会的組織ではもは 対応しきれない状況になっている。したがって、この際、組織的に も、資金的にも一段と充実をはかる必要があり、また、会の名称についても現代的視点か ら「米欧」の名には限界がありアジア、アラブ、アフリカをも視野に入れた「亜」を挿入 すべきだという認識から、「米欧亜回覧の会」と改めたい。

以上、ここにNPO化を申請する所以である。