GJ研究会:10月部会報告「グローバル時代をどう生き抜くかー最前線での経験を踏まえて」

 * 日時:平成29年10月21日(土)13:30~16:30

 * 場所:国際文化会館404号室
 * 演題:グローバル時代をどう生き抜くかー最前線での経験を踏まえて」
 * 講師:野口宣也氏
 * プロフィール:経済産業省には当会・副代表理事塚本弘氏と同期入省、
1996年退官
迄の28年間では重工業局、貿易局、生活産業局、工業技術院な
どで仕事され、
最後の五年間はアメリカ勤務を経験(1991年から3年間はサ
ンフランシスコで1994
年から2年間はニューヨークでそれぞれジェトロ所
長)最初の海外勤務は1977年か
ら3年2か月はパキスタン(イスラマバード)日本大使館勤務、1996年退官後日本IBMに入社、2005年までの9年間役員として勤務、退任。2005年から4年間は日本商品清算機構専務、2009年~2013年財団法人 日本車両検査協会理事長、退任

「グローバル時代をどう生き抜くか   最前線での経験を踏まえて」

学生時代、先輩から優を取るには、先生の説に逆らってはダメと言われていたのに、 丁寧に先生の説に反論した答案を出した。自信を持っていたのに、結果は良で、 ショック。通産省のとき、韓国の役人に輸出入取引法を教示。韓国は日本から実に多 くのことを学んだのに、今は平然と逆の証言をする。パキスタンに赴任前、外務研修 所で「政治と宗教の話をしてはいけない」「NOと言ってはいけない」と教えられた が、実際は全く違っていた。

OECD諸国書記官会議で米国のマハラック氏(その後駐日公使、駐ベトナム大使)と知り合い、親しく付き合った。(日経新聞 交遊抄)。特に、イスラマバードの米大使館焼き打ち事件の際は、外出できない彼を車の後ろに隠して支援した。アメリカのパキスタン政策は、原爆開発に関し援助を止めたり再開したり無定見inconsistentだった。出稼ぎ労働者の本国送金に頼らざるを得ないパキスタンの貧しさ、イスラム教学の高い評価を得ているパキスタンの誇り高さ。北朝鮮の外交官がエアコンを外交官特権で横流しする事件も当時すでにあった。日本の新聞記者のレベルの低さにも驚いた。園田特使の随行記者団に、パキスタンの記者との面談を設定しようとしたら、そんなことより麻雀卓を頼むと言われ唖然。また、パキスタンに出張してきた日本人新聞記者を自宅に招いて、パキスタン記者との議論の場を設けたところ、日本の平和憲法に関し、パキスタンの記者から、それで本当に自国の安全が 保てると信じているのかと追及され、しどろもどろになって説得できなくなった。 (出席者からのコメント。スイスに赴任した際、アパートを案内され、一番最初に連 れて行かれたのが、地下のシェルター。備蓄された食品を見せて、同じように準備し なさい、絶対に他人のものを当てにしてはいけないと言われた。自分たちで自国の安 全を守るのは当然なのに、日本は平和主義を口で唱えていれば大丈夫という幻想があ る)。

ビン・ラディンが射殺されたアッボタバードは、イスラマバードから50分ぐら いのところで、カラコルムハイウエーに向かう途中にある町で、何度も行った。パキ スタン軍は、決して親米的ではない。ジェトロ時代、赤澤璋一理事長からは「友と交 わるには須く三分の侠気を帯ぶべし。人となるには、一点の素心存するを要す」(洪 自誠の菜根譚)と教えられた。ジェトロサンフランシスコ所長のとき、相当米国通の 先輩が、米国の女性ジャーナリストから、ユー・ガイズ(you guys)と言われて逆上し たのに驚いた。カリフォルニアではごく普通の表現。トーク番組の面白さを知り自分 も出たいと思った。ニューヨーク所長のとき、日米自動車摩擦が勃発し、おかげで トーク番組にたくさん出演した。なかでもフィル・ドナヒュー・ショーで、思い切り しゃべった。アメリカ人はすべて白か黒かをはっきりさせたがるが、アメフトでも、 51対49と100対0では、勝ち負けの意味が全然違う。そんなことを日米自動車貿易摩擦 に絡ませてしゃべった。終わってから、ドナヒュー氏から、you did a good job と ハグされた。今に至るまで、日本の対外情報発信の絶望的不足には、がっかりしてい る。

日本IBMでは、アジアの代表としての意識を持って、頑張った。役所との関係に ついて、経済産業省との関係のために来てもらったわけではないとはっきり言われ、 利益相反の忌避が明確であることに感心した。現在価値を常に確認する人事評価、ス ピンアウトの奨励も印象的。日本国憲法については、第9条2項を削除し、国防軍を明 記すべし。高坂正堯著作集で高坂先生は「戦後50年だから、先の戦争への反省を述べ よと求められたが、そんなことは人倫の道に反する。いかなる戦争をしても、終わっ た後は、賠償と平和条約でピリオド。ノーサイド。」と述べておられる。高坂氏のよ うな現実的かつ柔軟な発想こそ現代に必要。米軍占領下で行われた厳しくかつ巧妙な 検閲について、明白な憲法21条違反だったが宮澤俊義氏は著書で一切触れず。(江藤 淳「閉ざされた言語空間」甲斐弦「GHQ検閲官」山本武利「GHQの検閲・諜報・宣伝工 作」では、GHQの検閲について辛辣な批判がある。)対中国では、「謝罪と反省が第 一」という伝統的な考え方は間違っているのみならず、日中関係の今後を考えるとき 非常に有害。日中間には「ゆがんだ鏡」が多すぎる。グローバル時代の現代は、同時 に複数の「正義」が併存する時代。それぞれの正義は対等で優劣つけがたい。だとす れば大切なのは、(1)自分の正義を明確に保持し主張すること(2)それでも自分と異な る正義を尊重すること(3)そのうえで両立できない異なる正義の間で折り合いをつけ る工夫をすることであろう。日本は(1)が決定的に不足しているのが大問題、これを 何とかしなければならない。(出席者から、日本の議論は、エッジがないことが多 い。バランス良くと考えているから、主張がはっきりしない。)日本のトーク番組は 中秋の名月を見上げて感想を述べ合う構造だ。そこには共感はあるが主張や対立がな い。(文責   塚本  弘)

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